著者
戸板 律子
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.21, pp.19-31, 2014-08-02

ユーモア・シャンソンの歴史に大きな足跡を残した男声カルテット、レ・フレール・ジャック。歌にマイムを取り入れた表現を編み出し、高い完成度に到達した名人芸の笑いについて、36年間の芸歴の精髄といえる引退公演の演目から論じる。まず第1章でグループの経歴をみてから、第2章では引退公演の28曲を紹介しつつ、笑いだけではないテーマ、芝居・マイム・舞踏に渡る表現手法の幅広さを概観する。第3章では彼らの「笑い」を歌詞・マイム・音楽について順次検証する。まず歌詞に予め含まれている笑いについて整理する。次にマイムと音楽それぞれについて、歌詞で準備された笑いにどのように関与しているのか、また歌詞には書かれていない笑いがどのように付加されているのかを例示していく。それらをとおしてレ・フレール・ジャックだけが成し得た「名人芸」の核心を明らかにする。

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