- 著者
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郭 陽
- 出版者
- 一般社団法人中国研究所
- 雑誌
- 中国研究月報 (ISSN:09104348)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.9, pp.1-13, 2014-09-25
『華夷変態』は,17世紀半ばから18世紀初頭にかけて長崎より江戸幕府に進呈された唐船風説書などを収載する海外情報集である。1906(明治39)年,反満革命思想の影響を受けた留日中国人士が,同書から明末清初における反清勢力の活動に関する史料を選録し,漢文本の『華夷変態』を東京で印行した。従来の研究では,この漢文本の書誌的な情報の言及に止まり,その出版経緯や内容構成について具体的に考察したものはなかった。そこで本稿では,江戸・明治期の日本における『華夷変態』の流布と影響を概観し,清末の留日中国学生の反満革命宣伝の一環としての,漢文本『華夷変態』の成立及びその歴史意義について検討する。