著者
鑓水 兼貴
出版者
国立国語研究所
雑誌
国立国語研究所論集 (ISSN:2186134X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.197-222, 2014-11

「首都圏の言語」を考えるうえで,関連する概念や用語は多くあるが,類似したものが多く複雑である。そのため本論文では用語整理は志向せず,考察に必要な観点を中心にまとめた。1980年代以降,伝統方言形が衰退し,新しい方言形が注目されるようになると,単純な共通語化モデルから,修正モデルが提唱されるようになった。研究背景として社会言語学の概念の導入や,社会における人口構造の変化などが影響している。東京における言語現象を考える場合,かつての「江戸」である「東京」の中心地域は非常に狭い範囲である。従来の山の手・下町と呼ばれる地域も,隣接地域に拡大している。そのため「東京」よりも「首都圏」と考えるのが適当である。言語的特徴についても東京とその隣接地域は連続的である。移住者の多い首都圏では,人口構成上,伝統方言が継承されにくい。こうした「首都圏の言語」を理解するための観点として,「標準語・共通語」「公的・私的」「方言・俗語」「意識・無意識」「理解・使用」の5つがあげられる。これらの観点をふまえ,新しい方言形を説明する術語として提唱された「新方言」と「ネオ方言」の考えを,「首都圏の言語」に適用することにより,より深く考察することが可能になる。

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