著者
黒田 彰
出版者
佛教大学国語国文学会
雑誌
京都語文 (ISSN:13424254)
巻号頁・発行日
no.21, pp.129-153,5,7-36, 2014-11-29

本誌前号の拙稿「祇園精舎覚書|鐘はいつ誰が鳴らすのか|」において、祇園精舎の無常堂の鐘の鼻には、金の獅子に乗り、手に白払を持った、金の崑崙が造型されていることを明らかにした。さて、その崑崙とは如何なるものなのか、戦前の研究史を参照しつつ、伎楽面の崑崙等を上げ、前稿の末尾部分で、聊か述べる所があったものの、その後、崑崙については二つ、大きな問題があることに気付いた。一つは、第二次世界大戦後、新中国において唐代を中心とする、崑崙の出土が相次ぐなど考古、美術、仏教、音楽(芸能)、文学、歴史等の諸分野にあって、崑崙研究が大きな進展を見たことである。もう一つは、崑崙が祇園精舎無常院(堂)の鐘と深く関わることである。小稿は、その第一の問題に取り組んだものである。近時の上記諸分野における崑崙研究は、目を見張るものがあるが、遺憾なことに、それら各分野の成果を統合し、纏めたものがない。そこで、小稿にあっては現時点における崑崙研究を、図像資料を中心として総合的に纏めてみることとした。小稿の図版(図一|三十五<図三十四を除く> 、参考図一|三)に関しては、巻頭カラー図版を参照されたい。なお第二の問題については、近稿「祇園精舎の鐘|祇洹寺図経覚書|」を予定する

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

収集済み URL リスト