- 著者
-
岡崎 和夫
- 出版者
- 日本語学会
- 雑誌
- 日本語の研究 (ISSN:13495119)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.2, pp.17-32, 2014-04
古代の暦日語のうち、『今昔物語集』本文の「吉日」につき、古鈔本本文の用例データの解析にしたがってその語形が「よきひ」とみなされること、また古鈔本の欠落をおぎない得る新写本本文にしたがって音読の語形の存在も推測されることを論証する。これにあわせて、従来の知見を批正しつつ、次下2つの事実をあらたに報告する。・『大鏡』の最有力古鈔本とされる東松本本文にもとづく「最吉日」の語について、これがけっして古今にわたる日本語資料中の孤例ではないこと。・中世後期の日本語資料に散見する「最上吉日」の語についても、従来知られた初例を遠くさかのぼる永長年間の確例のみいだされること。