著者
姉崎 正平
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.42-48, 2005

日本における初めての保健医療社会学の研究集団と思われる「医療社会学研究会」が東京に、1950年代の後半から、1960年代の前半まで、すなわち、昭和30年代に、存在した。現在の日本保健医療社会学会の前身、「保健・医療社会学研究会」の誕生が1974年であるから、前記研究会が消滅してから、約10年間の潜伏期間があったことになる。筆者は、1960年頃、学士入学の社会学々生として、前記研究会の末席に連なった。1960年から1961年にかけて、1961年の国民皆医療保険実施をひかえ、日本医師会の開業医一斉休診、全国的な病院ストライキなどで日本の医療界は激動期であった。1960年の日米安保反対運動で日本社会全体も騒然としていた。筆者はその後、日本および英国での大学院生、厚生省病院管理研究所研究員、日本大学医学部教員として、社会学あるいは社会科学的観点から、医療をつかず離れず眺めてきた。1960年前後に存在した「医療社会学研究会」についての見聞は、日本における保健医療社会学の揺籃期についての史料として残されるべきと思われる。また、当時の医療界の激動に触発された社会諸科学からの医療分析や提言と保健医療社会学を比較し、その有効性や有用性を検討することは保健医療社会学の現在のみならず将来にとって必要なことと思われる。本稿は2004年5月16日、東洋大学で開催された第30回保健医療社会学会大会のリレー講演「日本における保健医療社会学の歴史と展望」の演者としての報告を基にしている。

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