著者
米本 昌平
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.25-31, 2001

先端医療は本質的に、新しい医療技術と社会的諸価値との調整問題を含んでいる。この問題は一般に生命倫理とよばれるが、日本の大学アカデミーによる生命倫理研究の多くは実質的にアメリカにおけるバイオエシックス研究の輸入であった。この課題の多くは、本来医療職能集団が策定する倫理的ガイドラインとその遵守問題として扱われるはずのものである。医療職能集団としてのこの種の統治は、医療者全員が強制的に加入する、懲罰規定をもつ公的身分組織があることによって保証される。だがなぜか日本には医療者を包括する強制参加の身分組織がないため、たとえば脳死移植や生殖補助医療の規制がうまく機能しないままにある。俗に言う医療不信と、強制参加の身分組織がないこととはほぼ見合いの関係にある。日本医師会は任意加入の社団法人でしかなく、個別専門学会が決める倫理的ガイドラインは、学会員の見識に訴える見解に留まるものである。

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