- 著者
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中嶌 洋
- 出版者
- 日本介護福祉学会
- 雑誌
- 介護福祉学 (ISSN:13408178)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.2, pp.113-121, 2014-10-01
[目的]質的データを計量的に分析した本稿では,ホームヘルプ事業の創成のありようを「社会関連性」の観点から探究することを目的とした. [方法]人,生活,思想,公務を中心としたエコロジカル視点から,戦後日本のホームヘルプ事業の先覚者である原崎秀司の思想および実践に注視し,テキストマイニングによる計量テキスト分析を行い,文献研究により裏づけた. [結果]階層的クラスター分析により6つのクラスターが構成され,共起ネットワーク・対応分析により,全体像および各要因間の関係性が可視化され,公私関係の一端が明確になった. [結論]「社会関連性」という視点からの分析を通し,原崎は,マクロ・ミクロの両視点から人間同士のかかわりをとらえていたこと,実践や実体験を重視したこと,日常生活や地域社会を問題の出発点としていたことなどがうかがえた.さらに,生活と仕事(公務)との近接性という原崎の思想的特徴を確認でき,のちに彼がホームヘルプ事業に着想することになった背景要因を実証的に明らかにした.