- 著者
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丹羽 晃子
- 出版者
- 東京経営短期大学
- 雑誌
- 東京経営短期大学紀要 (ISSN:09194436)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, pp.148-135, 2011-03-31
『古事記』雄略天皇条の三重[ウネメ]物語の前半に槻の葉が天皇の酒盃に浮かんだことを天皇が発見して怒り,酒盃を献じた[ウネメ]を殺そうとする件がある。しかし物語後半の歌の酒ぼめのあり方や槻の神聖性などから,葉が酒盃に浮かぶ事象は本来は瑞祥であるとする意見がある。本稿では『日本書紀』の花が浮かぶとする二つの説話を取り上げ,この事象に瑞祥性が認められるかどうかを検討し,三重[ウネメ]物語の話の展開について考察した。