著者
重田 みち
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.9-17, 2006

複雑な成立過程を持つ世阿弥の能楽論『花伝』のうち、応永十年前後に成立したと推測される、当初の「奥義」(後に書き加えられた約半分を除いた部分。本文は現存せず)について、その本文を推定し、執筆の契機と意図について考察した。すなわち、その執筆の契機として、先行する歌論の十体論を世阿弥が知り得たことが挙げられ、その執筆の意図は、当時の自座の役者が古来の大和猿楽の藝風だけに固執しがちなことを批判し、他座の藝風をも視野に入れたすべての藝風を身に付けるべきことを主張することにあったと推測した。

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『花伝』「奥義」執筆の契機と意図 : 世阿弥能楽論における「風体」「十体」 https://t.co/4KHIGugiaf

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