- 著者
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久保田 活
- 出版者
- 日本保険医学会
- 雑誌
- 日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
- 巻号頁・発行日
- vol.112, no.4, pp.367-370, 2014-12
予測モデリングとは,過去の事実やデータを用いて,将来起きる結果や確率を予測するアプローチである。予測モデリングを行うためには,意味のある関係性を特定するため,大量のデータの収集・分析が必要となる。また,予測モデリングを用いることにより,大量の複雑なデータを素早く分析することが可能となり,意思決定が迅速になる利点がある。さらに,人間の認知によるバイアスを減らすという利点もある。すでに海外の保険会社において,予測モデリングを用いて,人々の寿命の予測が行われている。現在,日本の生命保険会社における医学的な査定では,申込者の疾病の有無・既往歴や,血圧・Body Mass Index (BMI)等の身体所見,血液・尿検査等,多くのデータを用いて,危険選択が行われることが多い。したがって,予測モデリングの特性を考慮すると,日本の生命保険の査定においても,予測モデリングの応用は可能であると考える。ただし,予測モデリングを用いて,より良い引受査定を行うためには,質が高く,かつ関連性のある大量のデータが不可欠となる。