- 著者
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青柳 隆志
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.7, pp.32-41, 2004-07-10
後崇光院伏見宮貞成(一三七二〜一四五六)は、さまざまな技芸に通じたが、「朗詠」もその一つである。松岡心平氏の指摘するように、貞成は「徳是」を中心に自ら朗詠を行ったが、貞成の郢曲の師綾小路信俊は老齢と後継者難のゆえをもって、貞成に源家朗詠の稀曲を教習し、家伝の『朗詠九十首抄』を書写せしめ、「朗詠秘曲伝受」を行った。その過程が克明に記される『看聞日記』の記述に拠って、中世における音曲の伝受過程と貞成の「朗詠」史における位置を探る。