著者
関谷 由美子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.42-53, 2004-06-10

『門』は、<テクストの閉域>を遍在させている小説である。例えば(1)何故安井は御米を妹と偽って宗助に紹介したのか、(2)キイ・パーソン佐伯安之助は何故隠蔽されているかの如く姿を見せないのかなど。これら不在のテクストがもつ意味生産性に照準し、安井から宗助へと交替してゆく一つの欲望の形式を浮上させるとともに、この小説が従来考えられてきた、社会からの追放ではなく、社会への追放の物語という構造をもつことを論証する。

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