著者
関谷 由美子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.15-26, 1998-06-10 (Released:2017-08-01)

『夢十夜』の個々の話は、それ自体で完結していると同時に、それぞれが有機的な関連のもとに全体を構成している統一的なテクストなのであるから、個別と統合と、双方の解読を必要とする。小稿はその手掛りとして、<恋の話><室内を舞台とする話><何処かへ真直に向う男の話>など、幾つかの発想の基本型を要素として抽出し、幾つかの群に分類し、その展望に沿って十話全体を貫く構造を求めようとする試みである。
著者
関谷 由美子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.15-26, 1998-06-10

『夢十夜』の個々の話は、それ自体で完結していると同時に、それぞれが有機的な関連のもとに全体を構成している統一的なテクストなのであるから、個別と統合と、双方の解読を必要とする。小稿はその手掛りとして、<恋の話><室内を舞台とする話><何処かへ真直に向う男の話>など、幾つかの発想の基本型を要素として抽出し、幾つかの群に分類し、その展望に沿って十話全体を貫く構造を求めようとする試みである。
著者
関谷 由美子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.22-33, 1993-09-10

田川と須永が友達であることの作品における意味は、田川を須永一族に接触させ、それによって田川の日常に波瀾が生じ、かつ田川系の物語から須永系の物語へと移行してゆくための仕掛け以上のものではない。田川と須永の無関係性は、それぞれが中心となる世界の無関係性へと敷衍される。小稿の目的は、田川系と須永系、二系列の物語が背理の関係にあることを明らかにし、それを通して諸短編の連鎖に有機的統一性を見出すことにある。
著者
関谷 由美子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.42-53, 2004-06-10

『門』は、<テクストの閉域>を遍在させている小説である。例えば(1)何故安井は御米を妹と偽って宗助に紹介したのか、(2)キイ・パーソン佐伯安之助は何故隠蔽されているかの如く姿を見せないのかなど。これら不在のテクストがもつ意味生産性に照準し、安井から宗助へと交替してゆく一つの欲望の形式を浮上させるとともに、この小説が従来考えられてきた、社会からの追放ではなく、社会への追放の物語という構造をもつことを論証する。