著者
加須屋 誠
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.17-28, 2000

十二世紀末に制作された絵巻物『病草紙』は病苦を浄土教的な無常感から主題化し、それを写実的に描いた絵画作品であるとこれまで美術史では位置づけられてきた。しかし、文学作品研究に倣い、その画面の構造分析を試みると、『病草紙』は決してそのような絵画でないことが明らかとなる。むしろ、それは古代/中世の時代の移行期にあった皇族貴族たちの動揺する価値観や抑圧された欲望あるいは不安に満ちた予感が投影された、まさしく《終末イメージ》の表象として解読される。

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