著者
加須屋 誠
出版者
京都大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:03897508)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.42-99, 1988-03-31
著者
中村 俊春 根立 研介 森 雅彦 河上 繁樹 安田 篤生 加須屋 誠 森 雅彦 河上 繁樹 安田 篤生 加須屋 誠 平川 佳世 深谷 訓子 皿井 舞 吉田 朋子 剱持 あずさ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、近代的な展覧会制度が確立する18世紀以前のいわゆる前近代の日本・東洋および西洋で行われた「つかのまの展示」について、作品調査および関連史料の分析に基づき個別事例を精査するとともに、比較研究の視点を交えつつ、各々に関して同時代の宗教観、経済活動、政治的文脈、社会状況等に照らした詳細な考察を行った。その結果、今後、本領域において指標的な役割を果しうる包括的な成果を得た。
著者
加須屋 誠
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.17-28, 2000

十二世紀末に制作された絵巻物『病草紙』は病苦を浄土教的な無常感から主題化し、それを写実的に描いた絵画作品であるとこれまで美術史では位置づけられてきた。しかし、文学作品研究に倣い、その画面の構造分析を試みると、『病草紙』は決してそのような絵画でないことが明らかとなる。むしろ、それは古代/中世の時代の移行期にあった皇族貴族たちの動揺する価値観や抑圧された欲望あるいは不安に満ちた予感が投影された、まさしく《終末イメージ》の表象として解読される。
著者
加須屋 誠
出版者
帝塚山学院大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

鎌倉後期制作の聖衆来迎寺所蔵「六道絵」は地獄幅四幅・閻魔王庁図一幅・餓鬼道図一幅・畜生道図一幅・阿修羅道図一幅・人道図四幅・天道図一幅・念仏功徳図二幅の計十五幅からなる仏教説話画遺品である。これらは現在、東京及び関西の博物館美術館に分割保管されているが、報告者はその実地調査を行い、各幅の詳細な細部写真撮影をなした。さらに各場面を『往生要集』をはじめとする仏教教典と対照し、カード及びコンピュータ・データベース形式で整理することにより、今後の研究の基礎となる資料を作成した。研究上とりわけ注目したのは、このなかで現実世界を描いた人道図である。これに関しては仏典(教理的プレテクスト)のみならず鎌倉時代の社会状況(社会的コンテクスト)をも考慮して、従来と異なる作品論(テクスト解釈)を試みた。その成果として一昨年すでに「聖衆来迎寺本六道絵「人道不浄相図」考」と題した論文を『帝塚山学院大学研究論集』に発表していたが、引き続き本年度は「生老病死の図像学-仏教説話画研究序説-」と題した論文を著し『国華』に掲載(1996年9月10月刊)。また特に病気の問題については「病草紙」等との比較を中心にして「病・表象・まなざし」と題して口頭発表(1996年12月、国際ワークショップ『美術史と他者』、於高野山福智院)、さらに死の問題に関しては『往生要集』の視覚イメージ論として「臨終行儀の美術-儀礼・身体・物語-」と題して口頭発表(1997年3月、公開フォーラム『宗教と美術』、於名古屋大学)を行った。これらの口頭発表の内容はいずれも平成9年度中に論文として刊行の予定である。そして、さらなる今後の研究課題に、異界についての考察がある。まずは地獄福に関する考察から始めて、順次各福の図像と様式解釈を試みた論文を執筆し、今後5年間をめどにして『聖衆来迎寺本六道絵の研究』をまとめることとしたい。その際には国際ワークショップで同席し、示唆に富んだアドバイスをくださったN.Brysonハーバード大学教授等が主導するいわゆる「ニュー・アート・ヒストリー」の研究方法が有効と考えている。