著者
近本 謙介
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.29-38, 2000-07-10

南都における中世という新たな時代への移行は、皮肉にも焼亡という体裁を採ってもたらされた。全編がいわば終末イメージによって綴られる『平家物語』においても、南都焼亡はその論理構造の中に取り込まれている。しかし、焼亡の憂き目を現前の事実として受け止めなければならなかった南都においては、中世への再建が、堂塔の整備とともに、文字によって為されていたように思われる。その様相を、春日信仰を中心とした霊験や教学に関する書の生成を例に取りながら論述する。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

貞慶の笠置寺隠遁(1193)が、「堕落した仏教界への反発」云々ではなく、源平合戦で荒廃した南都を、神祇を取り込みながら再生しようというプロジェクトであった…というのは、近本謙介「廃滅からの再生−南都における中世の到来」https://t.co/GH6IV3lDlM 等参照。

収集済み URL リスト