著者
佐藤 晃
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.1-9, 1998-07-10

安東(秋田)実季は、中世・安藤(東)氏から近世大名・秋田氏への転換期に、蟄居の身となった人物である。実季が、死の前年まで綴った系図は、蝦夷に系譜を持ち、奥州安倍氏の血を引く自家のアイデンティティを、「勅免シテ北国ノカタメトナ」ったものへと定位し直すものだった。そのため系図のなかの多くの記述が、朝廷に対する「勅免」劇の反復といった内容を持つものとなった。正史の歴史叙述の行間に自家の存在を滑り込ませ、かつ、その在り方を観念的に論理化してみせたのが、実季の系図作りの<創造>であったといえよう。

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【資料】CiNiiに、佐藤晃氏の論考「系図を綴る中世武士」(日本文学 47(7) 1998/7/10)がpdfで公開されています。安東(秋田)実季を取り上げ、正史の歴史叙述の行間に自家の存在を滑り込ませ方法。興味のある方はぜひ https://t.co/OsO1kkv2GS
CiNii 論文 -  系図を綴る中世武士(<特集><偽書>の中世) https://t.co/sKyoXXyqcf #CiNii

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