- 著者
-
小川 豊生
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.7, pp.10-23, 1998
『渓嵐拾葉集』『山家要略記』に集成される叡山「記家」のテキスト群、伊勢神道における「数百巻」にもわたる「神宮秘記」や、外宮調御倉に収蔵されていたという「神代秘書十二巻」のテキスト群、そうして、『麗気記』に結実する両部神道のテキスト群。鎌倉後期に全面展開する神話制作の動向は、その根底にいずれも<偽書>の存在ぬきにしては語れないものがある。本稿は、これら総体の動向を視野に入れつつ、なかんずく『麗気記』の中枢に導入された偽書をめぐる諸問題について解明する。