著者
石上 文正
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 電子版 (ISSN:21858373)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-22, 2015-03-31

映画「男はつらいよ」シリーズの劇中において映画のタイトルが表示されるときの口上、「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します。」および寅さんが生きている社会・世界をN. フェアクラフの批判的ディスコース分析と社会分析を用いて考察する。批判的ディスコース分析から、寅さんの口上には多くの矛盾が認められ、彼が両義的人間であるという結論に至った。また、社会分析によっても彼が生きている世界は両義的世界であることが判明した。その結果、次の2 点が導かれる。(1)この映画では矛盾がさまざまな局面に存在することが、緻密にそして整合的に製作されている、(2)フェアクラフ理論は、社会とことばの分析において、今回のケースでは有効であった。寅さんおよび彼が生きている世界と同様に、現実の世界も矛盾や両義性に満ちていている。いっぽう、フェアクラフ理論の基本は、世界の整合性に基づいている。では、何故フェアクラフ理論が有効であったのだろうか。それは、整合性に基礎を置いている理論だからこそ、矛盾や両義性を検出しやすいのである

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男はつらいよ、何でこんなに自分にヒットするのか気になり過ぎて論文を読み始めた。寅さんの映画冒頭の口上を端緒に家族関係、葛飾柴又という東京の周縁の土地、とらやの店の開けた作りがそれぞれにもつ両義性が整合性を持って配置された舞台設定であることを説いている。 https://t.co/bW0USiNoHN
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