- 著者
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古賀 弥生
- 出版者
- 活水女子大学
- 雑誌
- 活水論文集. 文学部編 (ISSN:21882983)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, pp.123-147, 2015-03-31
本稿は、福岡市就労自立支援センターにおいて実施されている、ホームレス状態から就労自立を目指す方々を対象とした演劇によるコミュニケーション講座の実践状況と、筆者が約1年間にわたって行った活動成果の検証についてまとめたものである。 検証の結果、この講座における「話す・聞く」という基本的な人との関わりの経験は対話の訓練や集団の疑似体験になっており、演劇の持つ共同性が生かされた活動となっていることが判明した。また、現実社会ではなく講座の中の守られた環境において体験したことが実社会の予行演習となっており、演劇の特徴のひとつである虚構性が関連していると考えられる。さらに自らのコミュニケーションの状況を少し引いた目で見る経験から自分のコミュニケーションの特徴を知り、これまでとは違うコミュニケーションのやり方を学ぶなどの成果も挙がっており、演劇の特質である客観性が生かされているともいえる。