- 著者
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牛山 恵
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.8, pp.53-62, 1995-08-10
「猫の事務所」に描かれているのは、官僚機構の中で起こった集団のいじめである。それらは、今日、学校で日常的に行われているいじめと同質ではないか。いじめる猫たち、いじめられるかま猫、ともに存在にはリアリティがある。読み手は、猫の事務所という仮想空間に、己れの現実を見る。だからこそ、いじめの解決が問題となるのだ。それを一挙に解決した獅子の登場にはどのような意味があるのだろうか。それらを通して賢治童話の批評性について考察したい。