- 著者
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坪井 秀人
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.2, pp.61-70, 1994
ベンヤミンのメディア論と同時代に著された大宅壮一の『文学的戦術論』と大熊信行の『文学のための経済学』『文芸の日本的形態』のメディア/文学論には、その読者論的な先駆性にもかかわらず、映画等の新しいメディアと比較される「印刷文学」の方法的劣性を前提にして、エクリチュールに対する抑圧として機能していく側面がある。一九三〇年代の文学の黙読性の問題を主軸に、大宅論における創作の「事実」と「技術」の問題、大熊の連載形式論などを検討して、右の抑圧性の所在を批判的に考察した。