著者
力丸 祥子
出版者
中央大学
雑誌
法學新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.5, pp.43-68, 2014-10

二〇一三年五月一七日、フランスは「すべての者のための婚姻に関する法律」を制定し、世界で一四番目に同性婚を認める国となった。 本稿では、同法制定以前に創設されたパックスの制度との対比をしつつ、その違いからフランスで同性婚を認める必要性があるとされたことを明らかにする(一)。同法は世論を二分する中で可決され、これにより同性婚及び同性婚カップルが子を持つ権利が認められることとなった。 しかし、同法はまた新たな問題をも生み出した(二)。具体的には①同性婚の司式の拒否、②同性婚カップルが子を持つことができる権利を有することと関連して、彼らが人工生殖や代理母により子を設けることの可否である。中でも人工生殖に関しては、人工生殖に関する生命倫理法が、人口生殖をなしうるのは、異性間カップルに限っていることから、法のねじれ現象が生じ、問題となっているという状況を紹介する。 最後に結びにかえて、我が国で同性婚を認めることの可否に関する動きにつき、同性婚合法化の動きのあるアジア圏の国々の状況も考慮に入れつつ、簡単に触れる。

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