著者
伊藤 忠
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.22-32, 1992

『五勺の酒』の語り手である「僕」は、一九四五年八月十五日<終戦の日>の一日を「かずかずの犯した罪が洗われて行く気がして泣けた」と手紙に記述したが、同僚の国語教師「梅本」の復員は今におき戦中の「犯した罪」が洗われていないことを物語っていた。「僕」の「君」宛の手紙はそうした「犯した罪」、自ら埋めようのない「訴えようのない」<空白>を「五勺のクダ」として<語る>ものであった。いわば「僕」の「犯した罪」の視座から『五勺の酒』を考えてみたのである。

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