- 著者
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森岡 次郎
- 出版者
- 教育思想史学会
- 雑誌
- 近代教育フォーラム (ISSN:09196560)
- 巻号頁・発行日
- no.18, pp.45-62, 2009-09-12
本稿では、「青い芝の会」と「障害学」という二つの思想運動について取り上げ、障害者解放のために用いられた理論の特徴を明らかにすることを目的とする。障害という問題を社会的に構築されたものとして捉えること。障害「当事者」の立場から、社会を構成する人々の心性や欲望のあり方に対して、批判と告発を行い続けること。障害者たちが積み重ねてきた議論によって開けた地平があり、残された課題がある。彼らが達成した成果と残された課題を引き受け、社会構築論的カテゴリー内部における無限の反省と相対化のプロセスを克服するための試みとして、「他者への欲望」という視座を提示してみたい。