著者
髙石 雅樹 大嶋 宏誌 浅野 哲
出版者
国際医療福祉大学学会
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.59-69, 2015

足尾銅山における「足尾鉱毒事件」は日本最初の公害であり,採掘技術の近代化および大規模化により鉱害は拡大した.鉱害は,製錬所から出る亜硫酸ガス等の有害物質や過剰な伐採による森林の荒廃および農作物の枯死,選鉱排水や鉱石堆積場から漏れ出る銅等の重金属を含んだ水による魚類の斃死および農作物被害であった.また,衛生環境の悪化が原因と思われる出生率の低下や死亡率および死産率の増加が起こっていた.鉱害対策は明治期から行われていたが,煙害は自熔炉精錬法導入まで解決せず,鉱毒水問題は精錬事業停止まで解決しなかった.現在,国や栃木県,NPO,市民ボランティア等が協力して植林活動を行っている.しかしながら,膨大な土地改良事業費用や治山活動費用を費やしても,かつての姿は取り戻せていない.近年は我が国で大規模な公害が発生する状況にはないが,東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故のように,通常とは異なる条件により発生する可能性は否定できない.したがって,過去の公害による知識を利用して十分な予防措置をとることが重要である.

言及状況

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足尾銅山が引き起こした鉱害における環境およびヒトへの影響 https://t.co/uUFy22kUSP
東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故のように通常とは 異なる条件により我国でも大規模公害が発生する可 能性は否定できない.公害が一度発生するとヒトや環 境への影響は長期にわたるため過去の公害による知 識を利用して十分な予防措置をとることが重要である. https://t.co/uUFy22kUSP
1925 ~ 1943(大正 14 ~ 昭和 18)年の足尾の亜砒酸生産量は土呂久より多く, 100 倍以上生産した年もあった.したがって足尾では亜砒酸の回収を始める 1918(大正 7)年以前は,多 量の亜砒酸が煙突から排出されていたと考えられるhttps://t.co/uUFy22kUSP
宮崎県土呂久鉱山では亜砒酸を製造しており,足尾同様に川水の汚染や農作物被害,ヒトへの健 康影響が起こっているhttps://t.co/uUFy22kUSP
1956(昭和 31)年の自熔炉設置により亜硫酸は回収され煙 害問題は解決したとされているが,これ以前は産銅量 の約 4 倍の亜硫酸ガスが放出されていたと考えられ る. https://t.co/uUFy22kUSP
足尾鉱毒事件は,戦前における「日本四大煙害事件」 の 1 つでもある. https://t.co/uUFy22kUSP
1980(昭和 55)年には, 杉浦により土壌中重金属濃度の測定が行われており, 毛里田や渡良瀬川の泥中銅およびカドミウム濃度が著 しく高かったhttps://t.co/uUFy22kUSP
また表流水中には, 施設下流で0.051 ppm のカドミウムが検出されたが、一方で鉱山上流では検出されなかった.これらの結 果より,群馬県は毛里田のカドミウム汚染の原因を足 尾銅山であると断定したhttps://t.co/uUFy22kUSP
戦後にはカドミウムが米 から検出された.1972(昭和 47)年の群馬県による 調査では,川底のカドミウムは足尾銅山施設すぐ下流で2.3 ppm であり,流域一般河川の平均濃度である 0.04 ppm をはるかに超えていたhttps://t.co/uUFy22kUSP
明治期は鉱毒の原因は銅や鉄が主なものと考えられ ていたがその後,排水に砒素も含まれている…https://t.co/uUFy22kUSP
1899(明治 32)年 10 月の調査で24 人の 妊婦や授乳中の者において母乳のあまり出ない者がいたものの鉱害との直接の因果関係は明確ではなく,農 業の不作による栄養不足が原因であると考えられると報告し…https://t.co/uUFy22kUSP
この地区では1895 ~ 1899(明治 28 ~ 32)年の 5 年間の徴兵検査合格者は 51 人中 1 人のみで、この者も入営後 10 日で病により除隊している https://t.co/uUFy22kUSP
栃木県安蘇郡界村大字高山では,死産を含めた 2 歳以下死亡数 (1,000 人当たり)が1883 ~ 1887(明治 16-20) 年の 5 年間は 15.4 人であったのに対し,1894 ~ 1898(明治 27-31)年では 31.2 人と 2 倍以上に増加して いるhttps://t.co/uUFy22kUSP
栃木県安蘇郡植野村大字船津川では, 1896(明治 29)年の大洪水を境に死亡者数が出生者 数を上回り,死産数と 2 歳以下の死亡者数が顕著に増 加しており,日本全体の人口増減率と比較すると明治28 年より著しく低くなっている。https://t.co/uUFy22kUSP
1894 ~ 1898(明治 27 ~ 31)年の 5 年間では,栃 木県,群馬県および埼玉県の鉱毒被害地における出生 数が1,326 人に対し,死亡者数は 1,586 人となっ た 。https://t.co/uUFy22kUSP
ヒトへの影響については,疫学調査の報告が僅かに 存在する程度である. https://t.co/uUFy22kUSP
東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故のように,通常とは 異なる条件により我が国でも大規模公害が発生する可 能性は否定できない.公害が一度発生するとヒトや環境への影響は長期にわたるため,過去の公害による知 識を利用し… https://t.co/bKtXrajsPH
東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故のように,通常とは 異なる条件により我が国でも大規模公害が発生する可 能性は否定できない.公害が一度発生するとヒトや環境への影響は長期にわたるため,過去の公害による知 識を利用し… https://t.co/bKtXrajsPH
足尾鉱毒事件の始まりは 100 年以上前になるが, フィリピン・レイテ島の銅精錬所では,近年でも足尾 同様の鉱害が発生している. https://t.co/bKtXrajsPH
足尾鉱毒事件の始まりは 100 年以上前になるが, フィリピン・レイテ島の銅精錬所では,近年でも足尾 同様の鉱害が発生している. https://t.co/bKtXrajsPH
失った自然 環境を取り戻すことは困難であり,足尾でこれまで費 やされた土地改良事業費用や,治山活動費用および人 員の規模は膨大であり,現在もかつての姿は取り戻せ ていない. https://t.co/bKtXrajsPH
失った自然 環境を取り戻すことは困難であり,足尾でこれまで費 やされた土地改良事業費用や,治山活動費用および人 員の規模は膨大であり,現在もかつての姿は取り戻せ ていない. https://t.co/bKtXrajsPH
近年は我が国で大規模な公害が発生 する状況にはないが,東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故のように,通常とは異なる条件により発 生する可能性は否定できない. https://t.co/bKtXrajsPH
近年は我が国で大規模な公害が発生 する状況にはないが,東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故のように,通常とは異なる条件により発 生する可能性は否定できない. https://t.co/bKtXrajsPH
また, 衛生環境の悪化が原因と思われる出生率の低下や死亡率および死産率の増加が起こっていた. https://t.co/bKtXrajsPH
また, 衛生環境の悪化が原因と思われる出生率の低下や死亡率および死産率の増加が起こっていた. https://t.co/bKtXrajsPH
鉱害は,製錬所から出る亜硫酸ガス等の有害物質や過剰な伐採による森林の荒廃および農作物の枯死, 選鉱排水や鉱石堆積場から漏れ出る銅等の重金属を含んだ水による魚類の斃死および農作物被害であった. https://t.co/bKtXrajsPH
鉱害は,製錬所から出る亜硫酸ガス等の有害物質や過剰な伐採による森林の荒廃および農作物の枯死, 選鉱排水や鉱石堆積場から漏れ出る銅等の重金属を含んだ水による魚類の斃死および農作物被害であった. https://t.co/bKtXrajsPH
足尾銅山が引き起こした鉱害における環境およびヒトへの影響 https://t.co/bKtXrajsPH
足尾銅山が引き起こした鉱害における環境およびヒトへの影響 https://t.co/bKtXrajsPH

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