著者
伊吹 友秀
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.244-254, 2014-09-26

現在、生まれてくる子供の性別を選択するための最も有効な方法の一つが着床前診断(PGD)を用いる方法である。わが国では性別の選択を目的としたPGDの利用は許容されていないものの、少なからぬ親たちが海外でこれを実施したことが報道された。そこで、本論文では、わが国における性別の選択を目的としたPGDの利用の是非について考察することを目的として、欧米の先行研究に関する文献調査とそれに基づく理論的な研究を行った。その結果、性別の選択を目的としたPGDの利用については、1)安全性・リスクの問題、2)性差別の助長の問題、3)性比の不均衡の問題、4)親の子どもに対する態度やまなざしの変化の問題が批判的に指摘されていること、親の自律や自由の観点から反論がされていることを明らかにした。その上で、これらの問題点をわが国の文脈も考慮に入れた場合に、どのように解釈されるかについて考察を加えた。最終的に、親の子どもに対する態度やまなざしの変化の問題と関連して、徳倫理学的な観点からの分析を行った。

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