- 著者
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杉浦 正人
水野 信太郎
- 出版者
- 北翔大学
- 雑誌
- 北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, pp.109-122, 2015
「札幌軟石」を札幌の地域資源として仮説的に位置づけ,`こんにち的'に考証することを目的とした。札幌の市民グループが2005年から続けてきた札幌軟石の建造物に関する調査を基礎資料として,特に対象を建物に絞り,定量的・定性的考察を試みた。その結果,2005年から2015年の間に,築50年以上の軟石建物が約320棟,札幌市内に存在することが判った。一方,そのうちの約40棟が,この10年間に解体され,消失した。建物の分布状況も明らかとなり,軟石をとおして札幌の地誌の一面を浮き彫りにすることができた。豊平川の複数の支流の,しかも多くの箇所で軟石が採掘されていたことも判った。建物が多種多彩に再利用されている様子も窺われた。