著者
尾形 良子 今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.67-71, 2014

現在,所有明示措置の実施率と不妊去勢手術の実施率は増加傾向にある一方で,多頭飼育崩壊の問題は多発しており,深刻化している。多頭飼育崩壊にいたるまでには,避妊去勢の未実施という直接的な要因の他に,飼養者の精神疾患を含む健康状態の悪化や,経済的問題や人間関係,高齢化,その他の問題など,複数の要因が影響していることが把握された。多頭飼育崩壊の背景や要因を検討する中で,改めて,動物の適正飼育の必要性が捉えられた。
著者
大宮司 信
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.35-40, 2015

関西にある円応教を対象とし,教祖が体験した神がかりがどのように継承され,どのように変容していったかを,「修法」という同教団の宗教儀礼を通して検討した。
著者
森 一生
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.143-149, 2012

『人々が生きる気力を取り戻す場所としての劇場』,『様々な人が出会い新たなコミュニティーを生み出す場所としての劇場』の構築の動きは,ここ数年,国や地方自治体や中央のアーティスト,研究者などの『声』となって論じられている。(その例,劇作家・演出家で,内閣官房参与でもある・平田オリザ氏は,2010年7月6日「劇場/新時代への展望」と題し,札幌市(かでる27)で講演。また,2010年12月5日にも札幌(キューブガーデン)で(第一部)「芸術立国から10年,演劇の未来」と題し講演。(第二部)『創造都市』をめざして新しい動きを展開する上田文雄・札幌市長と対談。など)にもかかわらず,残念ながら国レベルでも,地方自治体レベルでもその構築の動きは,「頓挫している」と言えないだろうか。一方,教育の現場では,文部科学省が,2010年5月,文部科学副大臣の主催による「コミュニケーション教育推進会議」を設置し,子どもたちのコミュニケーション能力の育成を図るための具体的な方策や普及のあり方について議論し,その審議経過報告をまとめている。そこでは「コミュニケーション能力が求められる背景」として,①社会の変化と子どもたちに求められる能力,②子どもたちの現状や課題,③新しい学習指導要領における言語活動の充実――等が述べられ,「効果的な手法・方策」が提案され,平成22年度から予算化され,実施されている。ところが,(道内の)各学校,地域の教育委員会,など「教育の現場」では,この動きに対する認識は「希薄」であり,その動きは,「鈍い」といわざるを得ない。私ども,舞台芸術プロジェクトは,その研究・実践活動の一つとして『人々が生きる気力を取り戻す場所としての劇場』,『様々な人が出会い新たなコミュニティーを生み出す場所としての劇場』の構築を目指して,研究・実践を続けているが,その実践例として2011年6月,ニセコ町・有島記念館で上演した『老船長の幻覚』について考察・報告したい。
著者
佐々木 浩子 木下 教子 高橋 光彦 志渡 晃一
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.9-16, 2013

大学生の睡眠の質と生活習慣及び精神的健康との関連を明らかにすることを目的として,北海道及び東北の大学生に「生活習慣と精神的健康状態に関する調査」を実施し,男女差及び睡眠障害の有無による比較及び検討を行った。 その結果,男子に比較して,女子では起床時刻が早く,食事の規則性などが良好で,喫煙や飲酒の習慣のある者や運動習慣のある者の割合が低いものの,ストレスの自覚の割合が高く,睡眠時間が短いなど男女の生活習慣に有意な差があることが明らかとなった。しかし,睡眠の質の評価としたPSQI-J の総得点および総得点により群分けした睡眠障害の有無の割合では男女差は認められなかった。 睡眠障害の有無による比較結果から,睡眠に関して問題をもつ者は,定期的運動習慣のある者の割合が低く,喫煙習慣のある者の割合が高く,遅い就床時刻,短い睡眠時間,長い入眠時間で,食生活に対する意識も低いなど,生活習慣においても良好な状態になく,同時に精神的な問題も抱えていることが示唆された。また,睡眠に関する問題は男女差なく,大学生の多くが共通して抱えている問題であることが明らかとなり,睡眠と生活のリズムに関する教育の必要性があるとの結論を得た。
著者
千葉 圭説
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.115-117, 2012

2011年2月に行ったチューバ・ユーフォニアムゼミ発足10周年を記念した演奏会の報告。現役学生から卒業生を含めた企画であり卒業生の中にはプロ奏者として活躍している。ソロから大編成アンサンブル演奏をプログラムした内容であり10周年にふさわしい演奏会であった。
著者
今野 洋子 尾形 良子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.73-76, 2014

現在,深刻化している多頭飼育崩壊に至る過程を踏まえ,初期対応実施による飼育モデルを作成した。飼育における初期対応が後の多頭飼育を回避することになる。また,多頭飼育に陥った場合,飼養者本人だけでの対応には限りがあるので,啓蒙・勧告・相談・支援等の多様な対応をチームで行う必要があることが明らかにされた。これまでに得られた知見をもとに,対応モデルを作成した。
著者
尾形 良子 今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.57-62, 2008

大学祭企画において実施した「猫カフェ」の効果についてのアンケート調査の分析を第1報で行った。本研究は第2報として来場者の自由記述を対象に,来場者にとって猫カフェがいかなる経験であったのかについて質的分析を行うことを目的とした。本研究においてグレーザー派のグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いることにより,以下の諸点を明らかにすることができた。1.猫カフェは「一期一会」の経験であった。2.猫カフェにおいて人(来場者)は動物(猫)との相互作用によって満足感を得,動物とのふれあいの楽しさや効果を改めて認識していた。3.短時間の中でも,人と動物は一時的ではあるが一定の限定的な関係形成を成し遂げていたと言える。
著者
大井 敏恭 堀田 真紀子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.23-39, 2009

製造から情報へと産業基盤が徐々に変化し,ハードよりソフトづくりが大切なことが指摘されるにつれ,日本各地で文化・芸術政策へのテコ入れが行われている。が,その多くは,文化を生み出すための土壌を生み出し,種を撒くことから始めるというより,土もないところに花(各種イベント,フェスティバルなど)だけ移植しようというような,性急さを伴っているように思われる。根付き成長するために必要な土がないところに移植された花を,不自然な状況で維持するには,膨大なエネルギーが外から注入されなければならない。その結果は資金の枯渇,関係者の疲弊となってあらわれるだろう。対して,私たちが指摘するのは,自力で文化の花を咲かせ,果実を実らせ,種が落ちて次世代が育ち持続可能に循環していけるような,土壌を私たちの社会につくる道である。つまり,地域の芸術を,草の根(ボトムアップ)の力で発信し,経済的,芸術的価値としても社会を循環し,助成金などのトップダウン的な力に依らなくても持続可能にするために,最低限,何が必要かを明らかにしたい。そのような道を模索するために,この論でとりあげたのは,地域発の現代芸術である。今述べた目的に到達するために,他にもさまざまな道がとれるだろう。その中の一つとして,あえてこの道を選んだのにはわけがある。「地域」と「現代芸術」の振興には相関関係があり,地域の固有性を豊かにするには,現代芸術が役にたち,逆に個性豊かな現代芸術を発信するために,その地域の固有性の探求が役に立つように思われるからだ。この問題をあつかうのが,Ⅰの準備考察である。その後,Ⅱ.芸術と社会の関係を分析するために,これまでなされてきた主な視点を概観し,この論考の目的を果たすために,それぞれの視点がどれだけ有効か,その可能性と限界を批判的に検討する。そのようにして必要な方法を確定した後で,Ⅲ.札幌の現状を分析し,Ⅳ.問題点を指摘し,Ⅴ.問題解決のために何ができるか,Ⅵ.それを,ここにすでにある文化的,社会的,経済的な特質に合わせた形で行うにはどうすればいいかについて述べる。本研究は共著になっている。現代芸術のおかれた状況の現状認識については,30年以上,現代芸術家として活動してきた大井が,社会の関係を分析する方法の概観や,全体の構成,最終的な執筆は堀田が主に担当した。The goal of this study is to publish local contemporary art by the power of grassroot organizations, tofind out the least necessary factors for them to be selfsustainable without the support of public funds, andlocal contemporary art to be circulated economically as well as aesthetically. Local community and localcontemporary art should reinforce and complement each other. In order to enrich originality of localcommunity, local contemporary art is useful. On the other hand, in order to publish local contemporary artand this art to be stated as original, it requires surveying uniqueness of the local community where theartists work. As a result it it establishes a correlation between art and community: the more unique thelocal community is, the deeper the local contemporary art might become.After this preliminary analysis the following points will be described:1)Checking the major idea being established until now to analyze the relationship between art and society.and2)Proving the effectiveness of application of the idea, Art Worlds by Howard S Becker, onto publishing,circulating and maintaining newly created artistic value. In other words, paying attention to thecooperation between artist, gallery, museumcurator, artcritique, researcher, artdealer, and public torecognizing, establishing and translating it to economic value.
著者
島津 彰
出版者
北翔大学北方圏学術情報センター
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.41-55, 2017

日本においてキリスト教の禁教が解かれた直後の明治期に,一農村に成立したハリスト正教会(ギリシャ正教,ロシア正教との呼称もある)の歴史を社会的な事象の中で俯瞰する。教会創立の根底には深い信仰がある事は言うまでもないが,キリスト教への理解が十分でない明治初期に,因習の残る農村地帯で教会の基盤を作り,幾多の困難を乗越えて発展を遂げ,特に日露戦争時には敵国の宗教と思われていた逆境を逆手にとって,日露戦争の俘虜への信仰慰安事業に参加し,俘虜への国際法を遵守する中で,日本の近代化の一翼を担い日本の結んだ不平等条約解消への役割を果たした正教会の活動を検証する。この検証は異なる宗教・文化に対して自国中心主義が勢いを増している世界にあって,マイノリティの立場の人々の自国の発展への寄与を顧みる時,多様性が実は豊かさを保障するものである事に気づく。同時に他宗教・他文化に属する人々が取り組んでいる事象の本質を冷静に見つめる事の大切さを示唆する。
著者
大宮司 信
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-4, 2012

イムは日本の北方の島である北海道に住むアイヌ民族に見られる,行動面並びに言語面における特徴的な状態であ る。もちろんアイヌ民族は日常生活の中でこの現象は見慣れたものであり,病気とみなしてはいなかった。一方西洋 医学の立場に立つ精神科医は,これを精神医学的ないし異常精神症状として記載してきた。その特徴的な症状は,ア イヌ語で蛇を意味する「トッコニ」などの言語的な刺激によって惹起される,エコラリアやコプロラリアといった爆 発的な言語表現,および自動運動や退行した性的行動などを含む乱暴で突発的な制御できない反響症状である。しか し我々が調査した現在では,このような古典的で特徴的なイム現象は既に失われていて,わずかに断片的なエコラリ アや反響行動のみが,あたかも残された足跡のように,アイヌ民族のごく少数の者に見られるだけであった。本論文 では,イムの精神学的側面と,アイヌ民族の歴史の視点からみた文化的な背景,そしてイムの過去から現在への変容 について述べる。
著者
飯田 昭人 野口 直美 斉藤 美香 丸岡 里香 川崎 直樹
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.55-65, 2014

本研究報告は,平成26年1月11日(土)に開催されたポルト市民講座『青年期の自殺予防を考える』における3名の話題提供者の文章を加筆修正して,研究報告としてまとめたものである。そもそもこの市民講座は,丸岡里香准教授が代表を務める「思春期教育グループ」と,飯田昭人が代表を務める「学生支援グループ」との共催で開催されたものである。本講座では,特に若者の自死・自死念慮にまつわる思いや背景について考えていくことを目的とし,テーマは「自殺予防」であるが,自殺を"させない"ための対策というよりも,若者年代の人間に自分自身の人生をいかにして生きてもらうか,死を選択する気持ちになってしまった若者に対して私たち大人はどうあるべきかなどを率直に考える時間にしたいと考え,企画したものである。話題提供者は,思春期教育グループより旭川東栄高校で養護教諭をされている野口直美氏に,学生支援グループからは北海道大学保健センター講師でカウンセラーをされている斉藤美香氏に,日ごろの臨床実践を語っていただいた。そして,両グループを代表して,学生支援グループの飯田昭人より,自殺問題に関する統計資料における自殺問題の特徴やいくつかの提言をしたものが本報告に収録されている。なお,当日は約50名の参加者の方々にお越しいただき,質疑応答も多く活発な議論ができたことを付言し,自殺予防活動に少しでも寄与できればと思い,改めてここに当日の市民講座でのやりとりを再現したいと考える。
著者
杉浦 正人 水野 信太郎
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.109-122, 2015

「札幌軟石」を札幌の地域資源として仮説的に位置づけ,`こんにち的'に考証することを目的とした。札幌の市民グループが2005年から続けてきた札幌軟石の建造物に関する調査を基礎資料として,特に対象を建物に絞り,定量的・定性的考察を試みた。その結果,2005年から2015年の間に,築50年以上の軟石建物が約320棟,札幌市内に存在することが判った。一方,そのうちの約40棟が,この10年間に解体され,消失した。建物の分布状況も明らかとなり,軟石をとおして札幌の地誌の一面を浮き彫りにすることができた。豊平川の複数の支流の,しかも多くの箇所で軟石が採掘されていたことも判った。建物が多種多彩に再利用されている様子も窺われた。
著者
今野 洋子 佐藤 満雄 舟橋 彰子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-7, 2011

現在,子どもの心を育てる教育として,国際社会において動物介在教育が推進されている。本稿では,北海道内小学校の動物介在教育(AAE)の実態から課題を把握し,動物介在教育実践校での例等をもとに,動物介在教育(AAE)の展開例と支援体制について提案することを目的とする。動物介在教育(AAE)の実践校の例から,動物介在教育を学校の教育計画に取り入れるための動物飼育と教科への位置づけおよび獣医師や専門家による動物愛護教室の全校集会案を示した。
著者
梶 晴美 高波 千代子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.5-14, 2012

本稿は,フィンランドのパーソナル・アシスタンス(PA)制度の制定経緯とそれに対する当事者運動のかかわり,および2008年12月に改正されたフィンランドの障害者のためのサービス及び援助法について,新PA制度の内容,特に改正による障害者,行政,ソーシャルワーカーへの影響について,2011年1月に実施した現地での聞き取り調査をもとに検討した。1987年の障害者のためのサービス及び援助法制定時も2008年の法改正にも障害者団体の運動が強く影響していると考えられた。特に,最初の法制定時は障害者団体が単体で運動していたものが,2005年以降複数の種別の異なる障害者団体がネットワークを築いたことが,2008年の法改正,PA 制度義務化への大きな原動力になったと思われる。改正法での新PA 制度は,理念として障害者の自己決定権をより強く打ち出しているものの,実際には雇用者モデル以外では自己決定権が十分保障されているとは言い難く,雇用者としての義務と責任を果たすことが難しい人への支援策も十分ではないと思われた。国民性の違いを考慮すると一概には言えないが,雇用者の義務と責任を第三者がどのように支援すれば,雇用者モデルでPA を利用できるようになるのかを検討することに意義はあるだろう。また,新PA で課せられたサービス計画の策定は,ソーシャルワーカーがゲートキーパーとなり自治体の支出をコントロールする重要な役割を負っている反面,ワーカーにとっては非常に負荷の大きい作業であり,策定後のモニタリング不足などの課題があることが示唆された。In this essay, the Personal AssistancePASystem in Finland is examined in a way how it was establishedand the disabled movements were involved, and to study the Finish Act on Services for the Disabled whichwas revised in December , especially relating to new contents of the act which have an impact on thedisabled, community administrations and their social workers, by conducting research interviews in their fieldin January .It has been seen that the disabled movements had a great influence on both the enactment of the Act onServices for the Disabled in and its reform in . While each disabled association took anindependent action for the first enactment, several organizations in different fields have started to gettogether to establish a network since , which could be noted as a great power of motivation to makePA system legally regulated in amendment.Though ideology which guarantees a disabled persons right to selfdetermination is more clearly representedin the new PA system, in practice it is difficult to say that their right to selfdetermination is fully securedin the services except that of the employer model, and also it seemed to be insufficient in support for thosewho have difficulty in playing an employer role with its duties and responsibilities. Considering differences ofour national characters it is not necessarily so, but in order to make the PA system accessible to everydisabled person, it is still essential to discuss the way how a third party can provide the support toemployers when they carry out their duties and responsibilities.In the new PA system, communities became liable to make a service plan for each user, which is essentialfor social workers to play an important role as gatekeepers in order to control expenses. In other hand,however, setting a service plan for each user could be a workers heavy workload. And an issue ofinsufficient system for monitoring the implementation of a service plan is emerged.
著者
菊地 達夫
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-8, 2013

本稿は,人権問題の一つアイヌ民族の問題に着目しながら,中学校社会科・道徳における専門博物館資料を活用した単元開発を行うものである。その過程において,従来のアイヌ民族学習の動向,現行課程におけるアイヌ民族学習の導入(社会科)の可能性について,確認した。 それをふまえ,専門博物館資料を含む各種資料を用いながら,社会科(公民的分野)と道徳の時間について,授業内容を例示した。とりわけ,人権問題に関する内容は,専門博物館の活用(資料,構成の利用を含む)することで,従来の課題解決の一助になる可能性を示唆した。