著者
横濱 道成
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.189-204, 2016-03-15

エミューは環境適応性に優れた走鳥類で,北海道・網走市では新規家禽として,そのオイル(機能性物質)生産を目的に飼育・増殖されている。しかし,本鳥に関する情報は内外とも少ないことから,筆者は新規産業鳥として,その生産向上に関わる事項について独自に調査してきた。本稿では,文献を参考にしながらその内容をまとめた。ペアリング後,交尾は早いペアーで14日目,遅いのは74日目で確認された。産卵期間は,11〜翌年5月までの7ヶ月間であった。産卵数は2〜3月に多く,全体の56.73%であった。雌・雄同比率繁殖群の産卵数(雌1羽当たりの産卵数が18.50個)は,10羽以上の集団および雌・雄異比率繁殖群(それぞれ雌1羽当たり6.55個と9.51個)に比べ有意に高かった(p<0.01)。ペアリングでは,産卵数20個の個体が翌年に1個に激減した例,同一ペン内で,雌が同一雄とのペアリングを解消するためペンからの移動を試み事故死した3例,また2頭の雄と交尾した1例が観察された。雌には,同一雄とペアリングを継続するタイプと産卵後に雄を交換するタイプが存在すると推察され,飼育下では前者のタイプが多く認められた。受精率は,2009〜2010年と2010〜2011年で,それぞれ89.64%と86.14%で,孵化率はそれぞれ67.34%と64.64%であった。受精率は産卵数の増加に伴って高くなる傾向にあった。交尾は1〜3月に集中し,その割合は80.23%であった。また,交尾時間帯は午前3〜9時に集中し75%を占め,特に,午前5〜9時の間に52.04%であった。交尾持続時間は22〜74秒間が多く72.23%であった。最長時間は3分50秒 (230秒)であった。交尾回数はペアーによってバラツキが大きく10〜59回の間に分布した。産卵数が多いペアーは交尾時間も長い傾向にあった。4〜5歳齢(雌・雄)の平均体重は約40kgになるが,脂肪重量は雄(9.42±0.40kg)が雌(7.34±0.64kg)に比べ有意に高かった(p<0.01)。体重(♂)が30〜35kg区の脂肪重量は5.99±0.35kgで,50〜55kg区では15.33±0.85kgで有意差が認められた(p<0.01)。体重と脂肪重量間には強い正の相関(r=0.785)が認められた。雄の脂肪重量に関して,下半期が9.94±0.47kgで,上半期(7.75±0.64kg)に比べ有意に高い値であった(p<0.01)。

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