著者
中村 文哉
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.59-118, 2016-03-31

本稿の主題は、沖繩MTLが1930年代後半に為した営みを同時代的状況のもとに照射し、同組織が果たした役割とその意義を考察することにある。一章では、まず、沖繩MTLの会則が成立した過程を追い、同組織のミッションの所在を確認する。次に、そのミッションが依って立つ基盤を、1907年の「癩予防に関する法律」、及び1931年の「癩予防法」との関連、及び「日本MTL会則」との関連から照射し、同時代の沖縄社会に生きた病者たちの現実に向きあおうとした同組織のスタンスを示す。二章では、このようにして構成された沖繩MTLのミッションとスタンスが、如何なる活動を生み、その結果、如何なる現実が帰結したのかを、「沖繩MTL報告(書)」の刊行年次および記事と予算会計から追う。1号期は屋部の焼討事件と病者の鹿児島収容、2号期は会則成立、屋我地済井出住民との救護所をめぐる交渉、3号期は「沖繩MTL相談所」の開所と移管問題、4号期は国立移管と国頭愛楽園への信仰上の救済、納骨堂建設運動、5号期は納骨堂構築と国立移管の実現、といった出来事が生起した。沖繩MTLが同時代の沖縄社会において果たした役割は、沖縄社会における病者たちの厳しい現実に寄り添いながら、長年かなわなかった療養所構築により、多くの病者を救済する手段を構築した点において、沖縄救癩史の転換点を準備したことにある。In this paper, we consider on the social rescue for some crises with leprosy at 1930' Okinawa. Our theme concern to the social relevance between the society "Okinawa Mission to Lepers"(OMTL)and 1930's Okinawan Island. OMTL was organized at 13 May 1935 in Shu-ri Baptest Churche by some earinest relieffers ; Takeo HANASHIRO, Danziro HATTORI、Yoshio NOMACHI and others. ...

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