著者
大谷 哲
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.55-65, 2009

「物語」の力とは、自分で始まり自分で終わることを許さない。いまなお今日の読者が、夏目漱石『夢十夜』「第三夜」に解釈行為の足止めをくわされるばかりでなく、様々な解釈への誘惑を断ち切れずにいるとするならば、われわれは未だその<ことば>の際立ちが発揮する意味作用、この物語の既視感の真の所以を対象化しえていないためである。『夢十夜』発表同時代、文壇を席捲していたのは自然主義的な素朴実在論の潮流。奇しくも、われわれは物語世界内の「自分」からしておよそ「百年後」-「私語り」の蔓延する-「いま」にある。本論は、「第三夜」の構造論理の析出に歴史的・時代的な文脈を加味した上で、「物語」の近代性を証する試みである。

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