著者
須田 千里
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.35-46, 2010-08-10

森鴎外『山椒大夫』で、安寿が弟厨子王を逃がし入水する行為について、安寿は厨子王の運命を好転させるために守本尊と一体化しようとし、そのためあえて一緒に逃げず、入水を選んだことを論じた。彼女の「自己犠牲」「献身」は、従来説のように厳しい現実ゆえではなく、仏教信仰に基づく積極的な行為なのである。併せて、鴎外が依拠した説経が元禄版『さんせう太夫』以外にもあること、実録系の山椒太夫関係の本や版本・写本の「粟の段」、また『増訂 国史大辞典』にも依拠することを推定した。

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森鴎外の「山椒大夫」について調べたい。
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