著者
須田 千里
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、神奈川近代文学館に所蔵される久生十蘭(一九〇二~五七)関係資料、すなわち、作品の草稿・原稿類、発表作品の切り抜きや手入れ資料、作品執筆に際し使用した雑誌・新聞記事など関連資料、同時代評、写真などの特別資料423点について、3年間の調査で詳細な記録を取るものである。また、作品の素材となった雑誌記事(作品毎に封筒に入れられていることが多い)と作品を照合することで、素材の確定や成立過程、推敲課程の跡付けを行う。上記特別資料は作者が死ぬまで手元に置いていたもので、直筆草稿や書き込みのある第一級の一次資料であり、多大な研究成果が期待できる。
著者
須田 千里
出版者
奈良女子大学
雑誌
叙説 (ISSN:0386359X)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-17, 1993-12-01
著者
須田 千里
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.35-46, 2010-08-10

森鴎外『山椒大夫』で、安寿が弟厨子王を逃がし入水する行為について、安寿は厨子王の運命を好転させるために守本尊と一体化しようとし、そのためあえて一緒に逃げず、入水を選んだことを論じた。彼女の「自己犠牲」「献身」は、従来説のように厳しい現実ゆえではなく、仏教信仰に基づく積極的な行為なのである。併せて、鴎外が依拠した説経が元禄版『さんせう太夫』以外にもあること、実録系の山椒太夫関係の本や版本・写本の「粟の段」、また『増訂 国史大辞典』にも依拠することを推定した。

1 0 0 0 明治戯作集

著者
須田千里 岩田秀行校注
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
2010
著者
須田 千里
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本近代文学館所蔵の芥川龍之介文庫の和漢書465点1822冊と、葛巻義敏寄贈本4点の書き込みを調査した結果、芥川によると考えられる書き込み36点、その他何らかの書き込みのあるもの93点、頁の折られた箇所(または折り跡)のあるもの290点があることをを明らかにした。芥川の書き込みや判明した材源については論文として発表、または紹介した。また、『破邪叢書』第一集が『るしへる』の、『日本に於ける公教会の復活前篇』が『じゆりあの・吉助』『おぎん』『黒衣聖母』の、それぞれ材源となっていることを明らかにした。
著者
須田 千里
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

当該研究期間における主な研究成果は以下の通りである。1、『風流線』における橘南渓『東遊記』の影響。『風流線』「手取川」で、工夫たちが手取川上の空中を飛行する男女の姿を目撃し、それを二柱の神と考えて地震や津波の前触れかと噂し合う場面は、『東遊記』巻之二「松前の津波」に拠る。2、『白牛』における『白縫譚』第二十七編(柳下亭種員作)の影響。『白牛』の遊女屋の女主人の形象は、『白縫譚』で牛のイメージで描写されるお牛に拠る。3、『風流線』『続風流線』における草双紙の影響。(1)草双紙的見立て。本作は大津絵の枠組みで捉えられており、滑稽性や伝奇性が顕著なことなどから、作品全体は草双紙に見立てられていると考えられる。(2)俵藤太秀郷のムカデ退治譚を踏まえ、お龍と巨山の対立が設定されている。(3)柳亭種彦『偐紫田舎源氏』の影響。仲働のお辻が双眼鏡で見回す趣向は、『偐紫田舎源氏』第二十編に拠る。また、幸之助が美樹子にわざと言い寄ったところ、彼女の方も幸之助を養子とした上で姦通しようと持ちかける設定は、『偐紫田舎源氏』第二編に拠る。(4)二世柳亭種彦作・二世歌川国貞画『七不思議葛飾譚』第六編の影響。『続風流線』「七箇の池」で、三太の養母がヒロインお龍の絵姿を調伏する場面は、『七不思議葛飾譚』で、厚ぎの姥がま萩の方の絵姿を板に張り付け、ヒキガエルや蛇などを供えて呪詛する設定に拠る。4、『夜叉ケ池』における柳亭種彦『綟手摺昔木偶』の影響。前者の舞台「越前国大野郡鹿見村琴弾谷」は架空のもので、『綟手摺昔木偶』冒頭、女仙赤魚が住む「琴引谷」に拠る。また、末尾で赤魚が飛び去るときの地震も、『夜叉ケ池』末尾のそれと対応する。5、『神鑿』における馬琴『頼豪阿闍梨恠鼠伝』の影響。『神鑿』で、人形の精が坊主と双六を打つ場面は、『頼豪阿闍梨恠鼠伝』巻之二に見える、双六を打つからくり人形に拠った可能性が高い。
著者
須田 千里
出版者
京都光華女子大学
雑誌
光華日本文学 (ISSN:09195882)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.89-106, 1993-07-10