著者
西野 由紀
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.21-33, 2011-02-10

『東海道名所図会』には、比叡山四明嶽の遠望に見えるはずのない富士山を描く挿図が収載されている。富士山が描かれた理由を、江戸に対する京の、文化的優位性や伝統を誇示するという出版意図にもとめた。富士山は東海道を、ひいては江戸を象徴する景物であり、それを京の文化で上書きしようとしたこと、さらに、宮中儀式の再興・復古によって朝廷の権威を強化しようとした時代背景が反映されていることを明らかにした。江戸への対抗心こそが、都を象徴する比叡山から富士が見える挿図を生みだしたのである。

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https://t.co/aEPD6rLGh3 都から富士が見えた時代 : 『東海道名所図会』の目論見 たまたま見つけたが、なかなか おもろい。近世後期の話。

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