- 著者
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竹下 健二
高橋 秀治
稲葉 優介
- 出版者
- 社団法人プラズマ・核融合学会
- 雑誌
- プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
- 巻号頁・発行日
- vol.92, no.1, pp.39-44, 2016-01-25
福島第一原子力発電所事故による1〜3号機の燃料のメルトダウンにより発生した燃料デブリからの崩壊熱を除去するために現在1日約320m^3の冷却水が循環され,そこにほぼ同量の地下水が混入して大量の汚染水が発生している.これまでにCs吸着装置やALPS(多核種除去設備)の開発により62の放射性核種を回収できるようになった.しかし処理水にはトリチウム(T)が含まれ,海洋放出ができない状況にある.70万m^3に及ぶ汚染水からのT回収法として水・水素同位体交換反応プロセスを取り上げ,必要なプラントの規模を検討した.多段型交換反応塔と電解槽を組み合わせたプロセスを用いて7年で汚染水からのT回収を行うこととし,プロセスに供給する汚染水のT濃度を1000Bq/cm^3,廃棄流中のT濃度を60Bq/cm^3以下に減損させると仮定すると,塔径6.3m,高さ9mの多段型交換反応塔が必要とされ,電解に要するエネルギーは117MWと評価される.T回収にはエネルギー多消費型の大型プラントが必要になる.