著者
池田 泰久 三村 均 佐藤 修彰 新堀 雄一 小崎 完 佐藤 努 佐々木 隆之 桐島 陽 出光 一哉 稲垣 八穂広 鈴木 達也 竹下 健二
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

福島原発事故で発生した汚染物の合理的な処理・処分システム構築に向け、従来とは異なる固体・液体汚染物の性状研究、固体・液体汚染物の処理研究、発生廃棄物の処分研究の3分野に分け、基盤データの取得を行ってきた。その結果、燃料デブリの性状、核種の溶出挙動、汚染物の除染法、汚染水の処理法、高塩濃度環境下での核種の移行挙動等、燃料デブリをはじめとした従来知見の少ない海水を含む水溶液に接する条件下で発生した放射性廃棄物の処理・処分技術の開発に資する多くのデータを取得し、福島原発事故廃棄物の処理・処分方策に貢献しうるとともに、放射性廃棄物の処理・処分分野の進展に寄与しうる成果を出している。
著者
竹下 健二 高橋 秀治 稲葉 優介
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.39-44, 2016-01-25

福島第一原子力発電所事故による1〜3号機の燃料のメルトダウンにより発生した燃料デブリからの崩壊熱を除去するために現在1日約320m^3の冷却水が循環され,そこにほぼ同量の地下水が混入して大量の汚染水が発生している.これまでにCs吸着装置やALPS(多核種除去設備)の開発により62の放射性核種を回収できるようになった.しかし処理水にはトリチウム(T)が含まれ,海洋放出ができない状況にある.70万m^3に及ぶ汚染水からのT回収法として水・水素同位体交換反応プロセスを取り上げ,必要なプラントの規模を検討した.多段型交換反応塔と電解槽を組み合わせたプロセスを用いて7年で汚染水からのT回収を行うこととし,プロセスに供給する汚染水のT濃度を1000Bq/cm^3,廃棄流中のT濃度を60Bq/cm^3以下に減損させると仮定すると,塔径6.3m,高さ9mの多段型交換反応塔が必要とされ,電解に要するエネルギーは117MWと評価される.T回収にはエネルギー多消費型の大型プラントが必要になる.
著者
竹下 健二
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.108-118, 2013-03-10 (Released:2013-03-22)
参考文献数
31

Radioactive fallout from the accident of Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (NPP), which was caused by the Tohoku earthquake (March 11, 2011), contaminated large area around the nuclear facility. Just after the accident, many studies on the restoration of living environment contaminated by volatile radioactive nuclides such as 134Cs, 137Cs and 131I were started by many universities, national institutes, NGOs and commercial companies. In this report, the sequence of Fukushima Daiichi NPP accident and the spread of radioactive contamination in the living environment are presented firstly, and the decontamination techniques of polluted soil (the mechanical separation techniques such as classification, polishing and washing, and the chemical separation techniques such as sublimation, chemical washing and hydrothermal decomposition) and the water clean-up techniques such as coagulation settling and highly selective adsorption are introduced according to the evaluation results of the FY2011 Decontamination Demonstration Model Works by Ministry of the Environment.
著者
竹下 健二 尾形 剛志
出版者
日本イオン交換学会
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-5, 2012 (Released:2012-02-02)
参考文献数
6
被引用文献数
7 5

原子炉施設内には放射性物質を含む汚染水や汚染海水が大量に蓄積され,その中の Cs 回収にはフェロシアン化鉄(吸着剤)と無機凝集剤を用いた凝集沈殿法とフェロシアン化鉄のシリカ造粒体を用いた吸着法が適用できる。凝集沈殿法では真水・海水のいずれの条件であっても汚染水中の Cs をほぼ完全に(DF~104)回収できた。吸着法では,ゼオライトでは適用が難しい,極微量 Cs(10 ppb 以下)を含む海水から効率的に Cs を回収できた。更に,環境汚染物質の除染技術への応用として下水汚泥からの Cs 回収について検討した。福島市の実下水汚泥(105 Bq/kg)に対して亜臨界水による水熱分解と凝集沈殿を組み合わせた複合プロセスを適用することで,下水汚泥から 96% の Cs を沈殿回収することに成功した。