著者
越智 信仁
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策論集 (ISSN:13497049)
巻号頁・発行日
no.22, pp.43-56, 2016-06

近年、わが国では会計上の見積りを巡る不正会計事例が目立っており、公正価値測定を含む会計上の見積りにおける不確実性は、国際的にも監査における重要論点と識別されるようになってきている。本稿では、国際財務報告基準(IFRS)の下、経営者裁量が比較的大きく不確実性の高い会計領域(レベル3 公正価値等)が拡大していく中で、経営トップが主導する会計不祥事に対する防波堤として、公正価値等見積り情報への監査が実効的に機能していくうえでの方策を考察する。そこでは、不正リスク対応基準の下、とりわけ会計上の見積りに不正の疑義ありと判断した後において、職業的懐疑心発揮の具体的態様である反証的立証活動の重要性を強調するほか、監査実務指針等で明示的に記述することの必要性にも論及する。従来、そうした監査プロセスの深度はブラックボックスであったが、監査人のアカウンタビリティの観点から、監査報告書での見積り情報等に関する「監査上の主要な事項(Key Audit Matters:KAM)」の開示が求められるとともに、KAMは監査品質に係るシグナル(情報)として機能していくことも期待される。

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