著者
永井 隆則 Takanori Nagai
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
京都工芸繊維大学工芸学部研究報告 人文 (ISSN:03895076)
巻号頁・発行日
no.54, pp.79-112, 2005

セザンヌの絵画を日本美術との類似から評価し受容する形式を、ここで「日本主義」のセザンヌ受容と規定すると、1910-20年代においては、有島生馬(1882-1974)の最初の指摘に続いて、セザンヌの絵画と南画、文人画との類似を指摘する形で頻繁に語られていった。 開国後の近代化に於いて、「日本主義」は、常に西欧化を批判するイデオロギーとして存在し続けてきたと思われるが、美術の領域、さらにはセザンヌ受容の領域に於いても事情は同じで、30-41年代と軍国化が進む中で、はっきりと一つの思想水脈となって、立ち現れてきた「写実」や「造型」といった西洋から学んだセザンヌ受容を駆逐する形で、この時代、それは、もう一つのセザンヌ受容となって形を取る事となった。 本稿では、この日本主義のセザンヌ受容の系譜を追跡し、その思想環境を明らかにする事を目的とする。京都工芸繊維大学 工芸学部研究報告 第54巻 人文(2005) pp.79-112

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"軍国化が進む中で…立ち現れてきた「写実」や「造型」といった西洋から学んだセザンヌ受容を駆逐する形で、この時代、それは もう一つのセザンヌ受容となって形を取る事となった" →セザンヌ受容と日本の"国粋主義"

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