著者
川野 靖子
出版者
筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科日本語学研究室
雑誌
筑波日本語研究 (ISSN:13424793)
巻号頁・発行日
no.8, pp.39-48, 2003

状態変化動詞がサマの変化を表すのに対し、位置変化動詞は対象の位置の変化を表し、サマの変化は含意しない。そのため位置変化動詞は、状態変化動詞とは異なり、結果の副詞句をとりにくいという特徴をもつ。しかし実際には、位置変化動詞であっても、「壁に写真を大きく飾った」「山に雪が白く積もった」のように、結果の修飾関係を構成している例がみられる。本稿では、位置変化動詞が結果の修飾関係を構成するのはどのような場合か(現象の成立条件)、そしてなぜそうした現象が成立し得るのか(現象の背景)という点を中心に分析を行った。その結果、上記の現象は副詞句が存在のあり方を表す場合(ex.壁に写真を大きく飾った)と内的属性を表す場合(ex.山に雪が白く積もった)の2つに分かれること。そして、前者の場合は存在のあり方と位置変化の意味との馴染みやすさが、後者の場合は当該の文にみられる発生構文との類似性が、結果の修飾関係を可能にしていることが明らかになった。本稿の分析は、位置変化と状態変化の峻別という基本的な立場を保持したまま当該の現象が説明できることを示したものであり、変化動詞の包括的記述に寄与するものである。

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