著者
渡辺 弥生
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
no.54, pp.77-94, 2006

本研究は、公立小学校1年生から6年生の全学年を対象に、ソーシャルスキルを育むサイコ・エデュケーションとしてのVLF(Voices of Love and Freedom)思いやり育成プログラムを実践し、児童のソーシャルスキルの向上に学年差及び性差、教師の視点と生徒の視点に違いがあるかどうかを比較検討した。VLFプログラムは、①自分の気持ちを相手に伝える力、②他人の気持ちを推測する力、③自分と他人の葛藤を解決する力、を育てることが意図されており、絵本を教材とした4つのステップから構成される体験型の思いやり育成プログラムである。パートナー・インタビュー、ロールプレイなど多様な活動が盛り込まれている。アセスメントはソーシャルスキルの自己評価尺度と教師評定、さらに、役割取得能力テストが用いられた。その結果、授業前と授業後でソーシャルスキルの変化を検討したところ、学年差および性差、教師と生徒間の評定の違いが明らかになったほか、ほぼ全学年で効果が認められた。

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