- 著者
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池田 揚子
IKEDA Yoko
- 出版者
- 岩手大学教育学部附属教育工学センター
- 雑誌
- 教育工学研究 (ISSN:02852128)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, pp.63-70, 1987-03-01
家事労働軽減のために開発されてきた洗濯機に,放り込めばあとは洗濯機が洗ってくれるから安心と思っている人がふえている。本当に衣類の汚れ除去はこれでよいのだろうか。この疑問を解明する一つの実験研究である。洗濯槽内の浴と布の相対回転速度を手がかりに,洗浄効率との関係から機械作用を考察する方法を用いた。布はポリエステル・綿混紡ブロードで大きさは4種類である。即ち幅を一定とし,長さ,形を変化させた。洗浴は一定とし,布の枚数を変えることにより,浴比を4-5水準とした。結果,長方形の布で1枚が100g-200gの場合,高浴比では相対回転速度も洗浄効率も増加した。これは相対回転速度と布の変形が,機械作用に寄与したと考えられる。然し,布重量が400gに増すと布の移動に力が必要のためか,布の変形に及ばない。洗浄効率も増加しない。筒形にした布の挙動は長方形と異なり,高浴比では洗浄効率の上昇は見られなかった。洗濯槽内のパルセーターは決った水流しか作り出さないが,布を入れることにより槽内の動きは独特の様相を呈し,汚れ除去も種々相を成す。