著者
望月 善次
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.53-66, 1989-03

野口芳宏氏(木更津市立波岡小学校教頭)は、授業の名手として名高い。野口氏の(「国語」)授業力の考察は、生成途上にある国語科授業研究の上に示唆するところ大きいのではないかと考えられる。氏の授業力の「構造」を明らかにし、それに基づいた「国語科教師教育教程」を作成しようとするのが、野口氏の授業を考察しようとする筆者の全体構想である。今回は、それに至る一つの道程として、氏の授業の中でも著名なものの一つである「うとてとこ」(谷川俊太郎」についての第1回の考察を行う。許された誌面の関係から、「授業記録」の提出がその中心的作業となる。
著者
池田 揚子 天木 桂子 IKEDA Yoko AMAKI Keiko
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.89-98, 1988-03-01

衣類整理の教育課題について検討するため,消費者の家庭における衣類の取り扱いに関する意識調査を実施した。それを基に,取れにくい汚れ(しみ)の落とし方の実験も合わせて行った。意識調査はアンケートによる。対象は大学生と主婦合わせて322名である。期日は1986年7月下旬で,記入は留置法による。実験方法は,試料布として綿ブロード白布地に,付着しやすいと回答された中から多い順に8種類(醤油,ソース,油,血,ファンデーション,泥,ケチャップ,ブドウ果汁)を選んで一定量付着させた。付着経過時間は12水準(1,2,3時間,1,2,3日,1,2,3週間,1,2,3か月)とし,洗濯除去後の効果は洗浄効率から求めた。また,走査型電子顕微鏡による各種しみの繊維への付着・脱落の微視的状態の観察も行った。意識調査結果,衣類の購入はサイズ表示・価格・デザインが重視されていた。取り扱い表示マークの理解は個別には高い割合を示すが,4個について関連づけた理解は低率であった。取り扱い表示に従って洗濯する割合は男子学生は10%と低い。その他の対象者も50%程度である。洗濯経験によるトラブルは50%と高率を示している。衣類の特性と取り扱いに課題があると思われる。しみの除去効果は泥を除いて付着直後に大きい。時間経過と共に落ちにくくなり,血,醤油,果汁が顕著である。走査型顕微鏡による写真では,繊維の内部・側面への付着が明瞭で脱落した状態も判断できる。然し,定量への課題が残った。
著者
石川 桂司
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-10, 1985-03-25

The author intended to analyze the relation between audio-visual literacy of the children and their TV viewing attitudes in the family. Audio-visual literacy of the children who had watched the educational TV program entitled "Trips of TV" (for social studies) was superior to the literacy of those who hadn't watched it in school. The author found that their literacy was influenced both by the factor of the TV program and by that of the parents' control in the family.高度情報化社会が進む中で,子ども達の家庭におけるテレビ視聴のあり方が,学校におけるテレビの視聴能力にどのように影響しているかを明らかにしようとした。特に高い視聴能力が形成されている学校放送テレビ番組継続利用校児童を対象に分析した結果,視聴能力の形成に対して,家庭で視聴している番組の質と,視聴に対する親の統制(指導)のあり方が関係していることが明らかになった。
著者
笹原 裕子
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
no.5, pp.7-15, 1983-03

物語番組であるテレビ「人形劇」の視聴において,テレビの映像は,幼児のイメージにどのように働きかけるものなのか,視聴後に見られた遊びのようす,及び,物語の続きを想像して絵話を作るという形の表現活動からその一面を伺い知ることにより,幼児のイメージを育てる指導のあり方を探る糸口を見つけ出そうとした。経験の乏しい幼児にとっては,映像は物語の世界を築いていく手がかりであり,鮮明なイメージを描き出す効果をもつ。多種多様なイメージの蓄えと定着をはかるとともに,次から次へとイメージを結んでいけるような手だてを探る研究を行った。
著者
倉島 敬治 笹原 裕子 KURASHIMA Keiji SASAHARA Yuko
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.17-28, 1983-03-01

子どものイメージを育てる指導について初歩的な研究を行なった。静止映像教材を絵本"花さき山"にもとづいてOHP・TP影絵を作成し,1.絵本提示,読み聞かせ,2.TP提示,BGM,ナレーション(TR),3.TP提示,ナレーション,4.BGM,ナレーション(TR)の4群6歳児に対し指導を行ない,1週間後に描画とお話しづくりを実施,比較した。イメージを測定・評価する方法が明確でないうえ,その概念も確立過程という困難な状況のなかで,幾つかの傾向が認められたが,今後一層の検討が必要であった。
著者
中村 一基 NAKAMURA Kazumoto
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.107-118, 1990-03-01

日本人の言語感覚のなかに、言葉に対する或る種のよそよそしさという要素は否めない。その感覚が何に由来するものなのかという関心に立って、その感覚の構造を明らかにするために、日本神話、中世の歌論・連歌論、近世の国学者の言霊論、現代の詩論を対象に、沈黙の意味性の把握という視点から考察を行った。本稿においては、特に言霊信仰の破綻の意識と再生への動きが、言葉に対する二律背反的な意識の根底にあることに注目して考察した。
著者
望月 善次 MOCHIZUKI Yoshitsugu
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.53-66, 1989-03-01

野口芳宏氏(木更津市立波岡小学校教頭)は、授業の名手として名高い。野口氏の(「国語」)授業力の考察は、生成途上にある国語科授業研究の上に示唆するところ大きいのではないかと考えられる。氏の授業力の「構造」を明らかにし、それに基づいた「国語科教師教育教程」を作成しようとするのが、野口氏の授業を考察しようとする筆者の全体構想である。今回は、それに至る一つの道程として、氏の授業の中でも著名なものの一つである「うとてとこ」(谷川俊太郎」についての第1回の考察を行う。許された誌面の関係から、「授業記録」の提出がその中心的作業となる。
著者
浅見 裕 ASAMI Yutaka
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.55-66, 1986-03-01

「教育技術の法則化運動」では,教師の力量を高めることを目的としており,共鳴する教師も多い。体育科教育学においても,教育技術の確立は重要な課題である。学部教育において,小学校教員養成課程学生対象の授業を行っている筆者としても,体育授業について学生たちの指導力養成を果たさねばならないが,体育実技については苦手・嫌いの学生も多く存在しており,指導力養成には非常な努力を強いられている。水泳の授業では,できないと思われている「バタフライ」を取り上げ,誰もが泳げるようになることを目指して指導している。この実践を踏まえて,誰もが教えることのできるバタフライの指導方法の確立を目的として,指導の順序と指導者の発言内容を示した。特に「バ夕足」ではなく,「旗(はた)足」という新造語を使って,無駄な力を使わない泳ぎの習得を目指しての指導方法を提言した。この指導方法を使っても,直ちに誰もがどの子どもをも泳がせるのは難しい。学習者一人ひとりに対応できるかどうかという教師の指導力によって左右されるのである。体育についても,「教育技術の法則化運動」は未だ,一人ひとりの子どもに対応できるような教育技術を数多く確立しているとは言えない。現在までの「教育技術の法則化運動」には,「つまずきの原因を見抜く力量の必要性の検討が不足」・「すぐに役立つという表現が曖昧」・「定石についての考え方に異論あり」などの問題点があることを述べた。今後これらの問題について検討を深めることは教員養成の仕事にも関わり,筆者の今後の課題でもある。
著者
池田 揚子 IKEDA Yoko
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.63-70, 1987-03-01

家事労働軽減のために開発されてきた洗濯機に,放り込めばあとは洗濯機が洗ってくれるから安心と思っている人がふえている。本当に衣類の汚れ除去はこれでよいのだろうか。この疑問を解明する一つの実験研究である。洗濯槽内の浴と布の相対回転速度を手がかりに,洗浄効率との関係から機械作用を考察する方法を用いた。布はポリエステル・綿混紡ブロードで大きさは4種類である。即ち幅を一定とし,長さ,形を変化させた。洗浴は一定とし,布の枚数を変えることにより,浴比を4-5水準とした。結果,長方形の布で1枚が100g-200gの場合,高浴比では相対回転速度も洗浄効率も増加した。これは相対回転速度と布の変形が,機械作用に寄与したと考えられる。然し,布重量が400gに増すと布の移動に力が必要のためか,布の変形に及ばない。洗浄効率も増加しない。筒形にした布の挙動は長方形と異なり,高浴比では洗浄効率の上昇は見られなかった。洗濯槽内のパルセーターは決った水流しか作り出さないが,布を入れることにより槽内の動きは独特の様相を呈し,汚れ除去も種々相を成す。