- 著者
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菊池 良一
- 出版者
- 明治大学政治経済研究所
- 雑誌
- 政経論叢 (ISSN:03873285)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.3, pp.p371-452, 1987-02
農産物市場、わけても青果物市場は純粋競争市場の典型であるといわれてきた。農産物市場の純粋競争性については、どの標準的経済学教科書にも、明確に述べられており、また農業経済に関する文献でも、農産物市場の分析にあたって純粋競争の理論を適用しているものが多くみうけられる。さらに、市場競争状態を分析する際に、価格理論を応用し、市場構造と売手・買手の市場行動の側面からより一層具体的な分析を行なう産業組織論においても、農産物市場は完全ないし純粋競争市場であると規定されている。たとえば、その代表的一例として、ワイス(L.Weiss)をとりあげてみよう。「農業は、構造的には他のいかなる産業よりも純粋競争にもっとも近い。