- 著者
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桜井 陽二
- 出版者
- 明治大学政治経済研究所
- 雑誌
- 政経論叢 (ISSN:03873285)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.3, pp.11-48, 1971-12
戦後、フランス語に新たに加えられた言葉に、ゴーリズムGaullismeがある。これは、文字通りに訳せば、「ドゴール主義」ということになるであろうが、その意味内容は、これまでのところ、必ずしも明確にされている訳ではない。試みにGrand Larousseを繙いてみても、『ゴーリスム、男性名詞、ドゴール将軍の主張する思想」としか書かれていない。このように、ゴーリズムという語が単にドゴールの思想だけを指すのであれば、別にさしたる困難はないだろう。しかし、それが、ドゴールの思想のみならず、一九四〇年の「自由フランス」から一九六九年のドゴール退陣に至るまでに現われた、ドゴール派の運動、制度、政策、支持層等の多面にわたる政治現象の根底に横たわる、本質的なるもの、ないし原理的なるものを指すものとするならば、それを把握することは、なかなか容易なことではない。