- 著者
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金井 勇人
- 出版者
- 埼玉大学国際交流センター
- 雑誌
- 国際交流センター紀要 (ISSN:18816479)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, pp.15-24, 2009-03
話し手が、他人の談話を引用してそこに登場する自分自身を表現するとき、指示語を使用することがある。そのとき、どのような指示語を選択するだろうか。このような興味を抱いたのが、本稿の執筆の動機である。本稿では、「-いつ」系の指示語(こいつ、そいつ、あいつ)を取り上げて考察を行う。これらの指示語は、引用した他人の談話内で、どのように選択されるのだろうか。結論を述べると、引用された談話内では、自身を指すのに「こいつ」「あいつ」が専ら用いられる。一方、「そいつ」は用いられない。これは、コソアの(非)直示性に関わっていると考えられる。また、「こいつ」と「あいつ」では、話し手の伝えたいニュアンスが異なる。