著者
中本 進一 金 英
出版者
埼玉大学国際交流センター
雑誌
国際交流センター紀要 (ISSN:18816479)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-14, 2009-03

2009ニュース報道は国際関係を反映しつつ、刻々と変化する。本稿では、2008年北京オリンピック開催のプレイベントとして行われた聖火リレーに関する一連の報道を取り上げた。チベット暴動における中国政府の姿勢に対し各国からの批判があったことを受け、報道の公平性に批判的アプローチを選択した。主たる研究フィールドとして、ネットニュースを選定し、特に善光寺関連を中心に聖火リレーの表象分析、リレー全般に関する妨害者報道の日中比較、さらには日本語報道における批判的ディスコース分析の3面からの分析を試みた。これらの分析により、日中関係の不明瞭さやそれを反映する報道における相対性の欠如が明らかとなった。
著者
金井 勇人
出版者
埼玉大学国際交流センター
雑誌
国際交流センター紀要 (ISSN:18816479)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.15-24, 2009-03

話し手が、他人の談話を引用してそこに登場する自分自身を表現するとき、指示語を使用することがある。そのとき、どのような指示語を選択するだろうか。このような興味を抱いたのが、本稿の執筆の動機である。本稿では、「-いつ」系の指示語(こいつ、そいつ、あいつ)を取り上げて考察を行う。これらの指示語は、引用した他人の談話内で、どのように選択されるのだろうか。結論を述べると、引用された談話内では、自身を指すのに「こいつ」「あいつ」が専ら用いられる。一方、「そいつ」は用いられない。これは、コソアの(非)直示性に関わっていると考えられる。また、「こいつ」と「あいつ」では、話し手の伝えたいニュアンスが異なる。