著者
高根 務 Tsutomu Takane
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-20, 2006

本稿では,独立期ガーナのココア部門とンクルマ政権の盛衰との関係を検討し,当時の政治経済状況の問題点を指摘する。注目するのは,政治・経済の両面で脱植民地化を目指した独立期のンクルマ政権が,実際にはその基盤を植民地期の遺産そのものに置いていた事実である。反植民地主義を掲げるンクルマが国家建設を進めるために採用した具体的な方策は,植民地期の遺産であるココアマーケティングボードを中心とした体制を利用し強化することによって,開発のための資金を調達し,また自らの政治基盤を農村部に浸透させることであった。本稿では経済・制度・政治のすべてが複雑に絡まって表出するココア部門とンクルマ政権の関係を明らかにすることにより,現代ガーナの諸問題の根源にある独立期ガーナの政治経済過程を再検討する。

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