著者
松本 昭彦 Matsumoto Akihiko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.85-92, 2009

『枕草子』第二十三段「すさまじきもの」の段には、験力を持った祈祷僧が、物の気を患った者の治療のため、憑り坐しに物の気を移らせようとして加持するのだが、全く効果が表れず、あくびをして横になってしまう、という「すさまじきもの」の一例がある。従来これは「加持に疲れ、何の効き目もないのに倦み飽きて眠くなってしまった験者(祈祷憎)の、やる気のなさを象徴する〈あくび〉」と解釈されてきたが、『古今著聞集』巻六・第二六六話、『栄花物語』巻二十九「たまのかざり」などによると、加持場面での病人のあくびは、物の気が治る兆候として現れており、本段における清少納言の筆致なども考慮すると、験者への皮肉を込めて、「本来あくびが期待される病人ではなく、験者がしてしまう」という文脈に読むべきである。

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こんな論文どうですか? 験者のあくび : 『枕草子』「すさまじきもの」段小考(松本 昭彦ほか),2009 http://id.CiNii.jp/IcOYM
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